PMS(月経前症候群)の自律神経を整える漢方
PMS(月経前症候群)を発症する原因の一つとして自律神経の乱れがあります。
女性の体は生理を終えると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増えます。
このエストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれ卵胞を育てるホルモンです。
そして排卵を迎えエストロゲンの分泌量がへるとともに別の女性ホルモンである
プロゲステロンの分泌量急激に増えるのです。
このプロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれ、妊娠を手助けするホルモンです。
体温を上げ、子宮の厚みを保ち、栄養や水分を体に溜め込み妊娠へ適した体へと導く
大切なホルモンです。
しかしこのプロゲステロンは自律神経を乱す作用もあり、それによりPMS(月経前症候郡)が発症するといわれています。
自律神経が乱れた時の症状
では自律神経が乱れるとどのような症状があらわれるのでしょうか?
まず自律神経とは自分の意思とは関係なく働く神経のことで、
脈拍、胃腸の働き、体温調節など24時間休むことのない神経です。
この自律神経には、昼間の活動的な時に働く交感神経と、夜などのリラックス状態の時に働く副交感神経があります。
この交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうと自律神経の乱れとなり
様々な体調不良を引き起こします。
それでは自律神経が乱れた時にはどのような症状が起こるのでしょうか?
●身体的症状
疲れが取れない、めまい、吐き気、だるい、動悸、頭痛、不眠、便秘や下痢、
頻尿、残尿感、むくみ、口の渇きなど
●精神的症状
憂鬱、イライラ、不安感、集中力の低下、無気力、情緒不安定、被害妄想など
自律神経を整える漢方
漢方を処方する際、その人の体質と『気(き)・血(けつ)・水(すい)』という
体を構成する3つの要素のどこに問題点があるかを診断します。
そして自律神経が乱れているときは『気』の異常があると考えられます。
それでは自律神経を整える漢方にはどのようなものがあるのでしょうか?
●加味逍遙散料(かみしょうようさん)
女性のPMS(月経前症候群)、更年期障害、月経不順に一番使われる漢方です。
疲れや、不安、イライラなどの自律神経の症状にも効果があります。
体力は中程度以下の人向けです。
●半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう)
イライラを抑え不安、不眠、めまい、動悸などの症状に効果があります。
体力は中程度の人向けです。
●女神散(にょしんさん)
こちらも加味逍遙散料と並び女性特有の症状でよく使われます。
自律神経の乱れへの効果は不眠、産前産後の神経症、頭痛、神経症などに効果があります。体力は中程度の人向けです。
●桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつ ぼれいとう)
虚弱体質な人で神経症、不眠、動悸、性欲減退などに効果があります。
このように漢方薬は一種類の薬でも様々な効能を持っており、
その人の体質や体力に合わせて処方されます。
自律神経の乱れに効果のある漢方薬は他にも多数あるので
まずは自分に合った漢方薬を見つけるためには
漢方を処方してくれる病院や漢方薬局へ相談にいくといいでしょう♫
PMS(月経前症候群)の漢方の値段
漢方って自然由来で体に良さそうだし、副作用も少ないって聞いて
使ってみたいけど高いんじゃないかな・・・なんて心配はありませんか?
医療費って本当にバカになりません。
お会計の時にビクビクしないために漢方の値段についてご紹介します。
漢方薬局で処方される漢方の値段
漢方薬局とは薬剤師さんが一人一人の体質や症状に合わせて、オーダーメイドで漢方薬を処方してくれる薬局のことです。
そのためドラッグストアなどで購入するよりも効果が高く、何か心配なことがあったら相談に行けるという利点があります。
しかし漢方薬局は保険が適用されませんので実費の支払いとなります。
処方される薬の種類によって値段が異なりますが、煎じ薬(お茶のように煮出して作る液体の薬)だと1日500円~1200円位、顆粒や錠剤の薬だと1日300円~900円位が相場です。
その他にカウンセリング料が発生する薬局もありますが、薬を処方してもらう場合には
このカウンセリング料は無料になるところがほとんどです。
カウンセリングのみの場合は5000円程度が相場のようです。
もし煎じ薬を30日間処方してもらい、一番安い1日500円のお薬だった場合1ヶ月で15000円になります。
けっこうな金額です><
ドラッグストアで購入する漢方の値段
ドラッグストアで購入する漢方のお値段です。
ツムラの漢方をよく目にすることがあると思いますが
PMS(月経前症候群)に効果のある主な漢方薬のお値段です。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
24包(日分):3500円+消費税
64包(32日分):9000円+消費税
更年期障害、月経痛、月経不順、冷え性、不眠など
桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)
24包(12日分):2500円+消費税
64包(32日分):6500円+消費税
月経不順、更年期障害、月経痛、など
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
24包(12日分):2500円+消費税
これらのドラッグストアで購入できる漢方薬は1ヶ月税込で7000~10000円位かかってしまいます。
何ヶ月か飲む場合はちょっと高いです><
ただドラッグストアや通販だと定価ではなく割引をして販売しているところが多いので40%~50%引きくらいで購入できる時もあります。
そのようなセールを利用するのもいいかもしれません。
ただお薬には使用期限があります。薬局で購入できる漢方は3年~5年位という
長い設定になっておりますが、保存状態が悪いと効果が悪くなったり
体に害を及ぼすことがあります。
安いからと言って大量のまとめ買いはしない方がよいでしょう。
病院で処方される漢方の値段
それでは最後は病院で処方される漢方薬の値段についてです。
病院で漢方薬を処方してもらう時には健康保険が適用となります。
また医師が一人一人の体質や症状にあわせ医療用の漢方薬を処方するため効果も高く
副作用の心配も少ないです。
しかし日本の医師のほとんどが西洋医学を学んでいるため、漢方を処方するための
東洋医学に詳しい医師が少ないのも現状です。
事前に治療に東洋医学を取り入れている病院を見つけておくことをお勧めします。
費用は保険適用の3割負担の場合、初診料1000円程度と薬代が1か月1000円~3000円程度です。
いかがでしょうか?
費用面や治療の効果を考えると病院で漢方薬を処方してもらうのが一番お勧めです。
漢方薬の治療は西洋薬に比べ長期の服用が必要になることが多いです。
なるべくお財布に優しい方法で治療していきたいですね♬
PMS(月経前症候群)の漢方の飲み方
病院で処方された漢方や、薬局で購入した漢方の
効果的な飲み方はあるのでしょうか?
まず病院で処方された方はしっかりと、医師や薬剤師の指示通りに服用することが大切です。
また薬局で購入した方は、添付されている説明書に記載されている方法で服用します。
漢方薬を飲む時間帯
食前もしくは食間が基本的です。
食前・・・食事をする30分前(食事をする直前ではない)
食間・・・食後2~3時間(食事中ではない)
なぜ食前もしくは食間なのでしょうか?
その理由は2つあります。
その理由のひとつは空腹時の方が漢方の有効成分を吸収しやすいということです。
もうひとつの理由としては漢方の副作用を抑えるためです。
漢方薬には抗がん剤などにも使用される毒性の強い成分であるアルカロイドを含むものが多く、
この毒性をたくさん吸収してしまうと、下痢や嘔吐などの副作用を発症してしまうことがあります。
しかし、空腹中の胃は酸性になっているためアルカロイドの毒性の吸収を抑えることができます。
しかし、お仕事をされている方や育児などで忙しい方は、お薬の飲み忘れはかなり多いのではないでしょうか?
そんな時には食後に飲んでも大丈夫♪
でも2回分を1度に飲んだり、1日分を一度に飲んだりは絶対にダメです!
朝晩に服用するものは6時間以上、朝昼晩のものは4時間以上の間隔を空けるようにしてください。
漢方薬を飲むのは水以外だめ?
お薬は必ず200cc位の水または白湯で服用してください。
全てのお薬はこの200cc程度の水か白湯で飲むことを前提に作られていて
水で薄まることにより胃の粘膜を保護したり、緩やかに有効成分を体内に吸収するようになります。
それ以外の飲み物、ジュースや牛乳、お茶、アルコールは漢方の吸収や作用をを弱めたり逆に強くしすぎる場合もあります。
特にお酒とお薬を一緒に飲むことは厳禁です!!!
お酒を飲んでいる途中に漢方の飲み忘れに気づいたときなど
その場で一緒に漢方を飲むのはやめてください。
アルコールは薬の作用を強くしてしまうので、副作用が強く出てしまうことがあります。
そのような危険を冒すくらいならば、1回位お休みしてまた次の日からきちんと
服用すれば問題ありません。
自己判断はダメ!
自己判断で薬の量を増やしたり、違う薬を追加するのもやめましょう。
漢方を服用中に風邪や花粉症など別のお薬が必要になったら病院へ行き
現在服用中の薬を伝え飲み方の指示を仰いでください。
また漢方薬には即効性はなく継続して服用することにより効果があらわれます。
効果を感じられなかったからとか面倒くさくなったなどで服用をやめてしまうというのもよくありません。
信頼のできる医師や薬剤師を見つけて不安や心配事はその都度相談できるような環境を整えることも大切です。
PMS(月経前症候群)で処方される漢方の副作用
副作用の心配がないと思われがちな漢方薬ですが
本当に安心していいのでしょうか?
漢方薬の副作用についてご紹介します。
漢方の副作用について
漢方とは薬草、動物、鉱物などの自然の原料である生薬を使用しているお薬です。
漢方はひとりひとりの体質や『気(き)・血(けつ)・水(すい)』という、体の要素の
どこに問題があるかを診断し処方されるのですが、体質に合わずに副作用を起こすこともあります。
しかし西洋薬に比べれば副作用の起こる頻度も少なく、その症状も軽いことが多いです。
よくある副作用の症状としては胃もたれ、吐き気、胸焼け、じんましん、むくみ、動悸などがあります。
これらの副作用は体質が合わないということが原因として考えられます。
また『瞑眩(メンゲン)』と言われる、漢方を飲むことにより一時的に体調が悪化する状態である場合もあります。
これは副作用とは違いこの状態が治まれば症状は改善されていくので勝手に服用をやめてしまうのはよくありません。
そのため漢方を服用中に体調が悪くなった場合には必ず医師に相談をしてください。
副作用の少ない漢方薬ですがごくまれに重篤な副作用を発症することがあります。
それはどのようなものでしょうか?
漢方の重篤な副作用
肺は肺胞と呼ばれる小さな袋のようなものが集まりできていますが、
この肺胞内に炎症が起こる一般的な肺炎とは異なり
間質性肺炎は肺胞の壁や肺胞と肺胞の間の組織に炎症を起こし起こる肺炎です。
症状としては呼吸困難や咳、発熱などがあります。
間質性肺炎の副作用を起こす可能性のある漢方には
、、 )などがあります。
●偽アルドステロン症(低カリウム血症)
副腎皮質ホルモンであるアルドステロンの作用で腎臓へ指令をだし体内に水分とナトリウムを溜め、
またそれにより高血圧へとなります。
このアルドステロンの過剰分泌により高血圧、むくみ、カリウム欠乏が起こることを
アルドステロン症といいます。
偽アルドステロン症とはアルドステロンの過剰分泌が起こっていないにも関わらず
アルデステロン症の症状を発症してしまうことです。
この偽アルドステロン症をの副作用を起こす原因である漢方には甘草(かんぞう)があります。
この甘草に含まれるグリチルリチンという成分が体内に蓄積されることで偽アルドステロン症の
副作用を発症してしまうことがあるのです。
いかがでしょうか?
このような重篤な副作用があるのかと思うと怖くなってしまうかもしれませんが、
漢方薬は西洋薬に比べ副作用の起こる頻度も少なく症状も軽いです。
しかし、服用の際にはきちんと医師や薬剤師の説明をしっかりと受け、
少しでもおかしいと思ったらまずは医師へ相談してください。
お薬を安全に使用して辛いPMS(月経前症候群)を改善しましょう♫
PMS(月経前症候群)で処方される漢方とは?
PMS(月経前症候群)は生理前に身体面、精神面に起こる様々な体調不良のことです。
こちらでは漢方薬を使った治療方法いついてご紹介します。
漢方の考え方
漢方医学ではその人の体質と『気(き)・血(けつ)・水(すい)』という人の体を構成する3つの要素のどこに問題点があるかを診断します。
気(き)とは?
⇒気は体内の生命エネルギーの事で、やる気、元気、ノリ気などの気力のことです。
気が不足している状態を気虚(ききょ)といい
また気の流れが滞っている状態を気滞(きたい)と呼びます。
気虚(ききょ)はなんとなく元気がでない、やる気が起きないなどの症状がでます。
気滞(きたい)はイライラや不安感、うつなどの精神的な症状が現れます。
血(けつ)とは?
⇒血は体内を巡る血液そのもの、また血液によって体内に運ばれる酸素や栄養素のことです。
血が不足している状態を血虚(けっきょ)といい
また血の流れが滞っている状態をお血(おけつ)と呼びます。
血虚(けっきょ)は冷え性、不眠、立ちくらみなどの症状がでます。
お血(おけつ)はイライラ、頭痛、月経痛などの症状を発症します。
水(すい)とは?
⇒水は体内の水分で血液以外のもの全てです。
水が不足している状態を津虚(しんきょ)といい
また水の流れが滞っている状態を水毒(すいどく)と呼びます。
津虚(しんきょ)は不眠、胃や腸の不調、乾燥肌などの症状がでます。
水毒(すいどく)はむくみ、めまい、吐き気などを発症します。
PMS(月経前症候群)で処方される漢方は?
漢方は1つの薬で様々な症状に効果があるため、PMS(月経前症候群)のように症状が多岐に渡るものには非常に効果があります。
それではPMS(月経前症候群)の時にはどのような漢方薬を処方されるのでしょうか?
●加味逍遙散料(かみしょうようさん)
⇒気滞の症状(イライラ、肩こり、生理不順、更年期障害など)
●半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう)
⇒気滞の症状(不安、不眠、めまい、動悸など)
●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
⇒お血の症状(便秘、下腹部痛、イライラなど)
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
⇒お血の症状(生理不順、生理痛、肩こり、めまいなど)
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
⇒水毒の症状(冷え性、生理不順、むくみ、めまいなど)
●五苓散料(ごれいさんりょう)
⇒水毒の症状(排尿障害・むくみ・頭痛など)
これらの漢方薬をその人の体質や体格などを考慮し、医師の診断の上処方されます。また症状によっては西洋薬と併用で処方されることもあります。
必ず処方通りに服用し早期改善を目指しましょう!!
PMS(月経前症候群)に効果のあるツムラの漢方
漢方薬は病院を受診して処方してもらうという方法と、薬局で購入するという方法があります。
よくツムラの漢方をドラッグストアや通販で見かけることがあると思います。
このような市販の漢方薬と病院で処方される漢方薬に違いはあるのでしょうか?
まずはPMS(月経前症候群)に効果のあるツムラの漢方はどのようなものでしょうか?
PMS(月経前症候群)に効果のあるツムラの漢方
加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲労感、肩こり腰痛、イライラやうつ状態、更年期障害、月経痛、月経不順、冷え性、不眠などの改善に。
体力が中等度以下の方。
24包(12日分):3500円+消費税
64包(32日分):9000円+消費税
桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)
月経不順、更年期障害、皮膚のシミ、月経痛、下腹部痛、頭痛、のぼせ、めまいなどの改善に。
体力がある方向け。
24包(12日分):2500円+消費税
64包(32日分):6500円+消費税
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
月経痛、月経不順、更年期障害、産前産後の障害、めまい、立ちくらみなどの改善に。
虚弱体質な方向け。
24包(12日分):2500円+消費税
64包(32日分):6500円+消費税
半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう)
不安神経症、神経性胃炎、動悸、めまいなどの改善に。
体力中程度の方向け。
24包(12日分):3000円+消費税
それではこのようなツムラの漢方と病院で処方される漢方に違いはあるのでしょうか?
ツムラの漢方と病院で処方される漢方の違い
病院で漢方を処方されたことのある方はご存知だと思いますが、
病院で処方されるのもほとんどはツムラの漢方薬です。
ただこの漢方薬は薬局などで販売されているものとは違いツムラの【医療用漢方製剤】が処方されます。
このようなものです。
医療用漢方製剤と市販薬に効き目の違いはあるのでしょうか?
この両者の違いは生薬の含有量の違いです。
加味逍遙散で比較すると
医療用(1日分7.5g)
7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
サイコ 3.0g
シャクヤク 3.0g
ソウジュツ 3.0g
トウキ 3.0g
ブクリョウ 3.0g
サンシシ 2.0g
ボタンピ 2.0g
カンゾウ 1.5g
ショウキョウ 1.0g
ハッカ 1.0g
市販用(1日分3.75g)
3.75g中、下記の割合の加味逍遙散エキス(1/2量)2.0gを含有する。
サイコ 1.5g
シャクヤク 1.5g
ソウジュツ 1.5g
トウキ 1.5g
ブクリョウ 1.5g
サンシシ 1.0g
ボタンピ 1.0g
カンゾウ 0.75g
ショウキョウ 0.5g
ハッカ 0.5g
このような違いがあります。
市販の漢方薬の生薬の含有量が抑えられているのには
一般の消費者が医師の指示などなく購入することができるので
副作用や合併症のリスクを考慮しているためです。
それに対して処方薬は一人一人の体質や『気(き)・血(けつ)・水(すい)』という
体のどの部分に問題があるかを見極め、副作用が起こらず一番効能のある漢方薬を
医師が処方するため市販の漢方薬よりも病院で処方される漢方薬の方が効果が高いと言えます。
また一部の生薬を除いては健康保険が適用されますので、薬局で購入するよりも
病院で処方される漢方薬の方が安く手に入れることが可能です。